【プロジェクト名称】

携帯電話用電池パック
充放電端子部品の端子インサート成形

 

プロジェクト以前から携帯電話用電池パックの生産は手掛けていましたが、発注先の一元化を検討されていた大手メーカー様より、端子部品含む樹脂部品の統合発注の流れがありました。

要するに、「電池パックだけではなく、河辺商会一社であれもこれもできないか」というとてもありがたい流れです。

 

 

しかしながら、そのひとつである端子のインサート成形は非常に難易度が高いものでした。

薄い金属板が狭い間隔で並んでおり、端子同士が干渉すれば大きな事故につながる。

端子の一部は外観(目に見える部分)であり、端子部品のそれぞれの隙間は1~2mmと非常に近接している。

要するに、安全かつ確実に使えるものにするため、「繊細かつ美しく成形する」必要があったのです。

 

 

デリケートな設計と作業が求められるこの要件を、厚みが0.2mmのリン青銅にニッケルメッキと金メッキを施した素材をプレス加工し、樹脂金型にインサート、一体成形を行うことで打開をはかりました。

 

 

技術的な壁は、

・端子外観部が変形してしまう、傷がついてしまう
・近接している端子が樹脂の流動圧力によって変形し、干渉してしまう
・端子は樹脂で隠れる部分も多いため、干渉していても見えない
・端子がきちんと金型に装着されていないと、金型を破損してしまう

と、なかなかのボリュームです。

 

端子メーカーと一緒に「金型装着時の安定化」「端子変形防止」「端子外観確保」の3要件を満足することができる端子形状の検討からはじめました。

 

 

 

試行錯誤から解決までには多くの苦労を要しましたが、不良の激減、コストの削減という大きな成果をあげ、また製品形状の変更によって誰でも簡単にインサート成形が可能になったため、大変喜んでいただけたのを覚えています。

その後、インサート部品に関する引き合いを多くいただくこととなりました。

 

【専門脚注】

端子保持ピン穴・・・端子を固定するための細工。金型の位置決めピンを端子の穴に入れ、位置決めを行う。

 

 


 

河辺商会の実績を紐解く「挑戦史」シリーズ。
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